Regulations保険商品に関する規制

1.少額短期保険として引受けられる保険

少額短期保険業とは、保険業のうち、保険期間が2年以内の政令で定める期間以内であって、保険金額が1,000万円を超えない範囲内において政令で定める金額以下の保険のみの引受けを行う事業をいう。
保険業法2条第17号

  • 1)保険期間

    • ① 保険期間の制限

      少額短期保険業者として引き受けられる期間は、原則として1年とされており、損害保険分野については2年とされている。

    • ② 保険契約の自動更新に係る規定

      少額短期保険業者も、保険契約の自動更新を規定することは認められている。
      保険業法施行規則211条の30第1号

      保険契約者から保険期間の満了の日までに更新しない旨の申出がない限り更新される保険契約を取り扱う場合にあっては、更新後の保険契約について、保険料の計算の方法、保険金額について見直す場合があることを記載した書面を用いて行う説明および当該書面の交付が必要とされている。
      保険業法施行規則227条の2第3項第13号

  • 2)保険金額

    • ① 保険種類ごとの限度額

      少額短期保険業では、次のとおり保険の区分に応じて1被保険者について引受ける保険金額の上限が設けられている。
      また、①~⑥の保険の保険金額の合計額は1,000万円が上限となる。

    保険種類 保険の内容 保険金額の限度額 関係法令
    ① 死亡保険 人の死亡に関し、一定額の保険金を支払うことを約する保険(⑤を除く。) 300万円 保険業法施行令1条の6第1号
    ② 医療保険(傷害疾病保険) 傷害または疾病に関し、一定の保険金を支払うことまたはこれらによって生ずることのある当該人の損害を填補することを約する保険(③と④を除く) 80万円 保険業法施行令1条の6第2号
    ③ 重度障害保険 傷害または疾病を原因とする人の重度の傷害の状態に関し、一定の保険金を支払うことまたはこれらによって生ずることのある当該人の損害を填補することを約する保険(④を除く) 300万円 保険業法施行令1条の6第3号
    ④ 特定重度障害保険 重度障害保険のうち、傷害を受けたことを原因とする人の重度の障害の状態に関する保険 600万円 保険業法施行令1条の6第4号
    ⑤ 傷害死亡保険 傷害を受けたことを直接の原因とする人の死亡に関し、一定額の保険金を支払うことまたはこれによって生ずることのある当該人の損害を填補することを約する保険 300万円 保険業法施行令1条の6第5号
    (調整規程付傷害死亡保険) 同一の被保険者について引き受ける保険に⑤のほか①が含まれる場合に、⑤に係る保険金の支払等により、その相当する金額が①の保険金額から減額されることとされている保険 (600万円) 保険業法施行令1条の6第5号
    ⑥ 損害保険 一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し、保険料を収受する保険(⑦を除く) 1,000万円 保険業法第3条第5項第1号
    保険業法施行令1条の6第6号
    ⑦ 低発生率保険 ⑥のうち、個人の日常生活に伴う損害賠償責任を対象とする保険(自動車の運行に係るものを除く。) 1,000万円 保険業法第3条第5項第1号
    保険業法施行令1条の6第7号

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    • ② 1の被保険者に係る保険金額の限度額

      被保険者1人につき上記イ)①死亡保険から⑥損害保険までの保険の保険金額の合計額については1,000万円とする。
      保険業法第2条第17号

      なお、上記イ)⑦低発生率保険については、上述の上限額とは別に1,000万円まで引受けることができる。
      保険業法施行令第1条の6

    • ③ 1の保険契約者に係る保険金額の限度額

      少額短期保険業者は、保険契約者1人について引受ける上記イ)①から⑥の保険の区分に応じた保険金額に100を乗じて得た金額(以下「上限総保険金額」という。)を限度額となる。
      保険業法第272条の13第1項

      ただし、上記イ)⑤の保険については、調整規定付傷害死亡保険以外の保険は3億円、調整規定付傷害死亡保険は6億円から調整規定付傷害死亡保険以外の保険に係る保険金額の合計額を控除した金額が限度額となる。
      保険業法施行令第38条の9第1項

  • 3)保険期間中の保険料の増額または保険金額の減額に関するルール

    少額短期保険業者は、「保険料の増額または保険金の削減に関する事項」を普通保険約款に記載しなければならない。
    保険業法施行規則211条の5第4号

    【記載例】
    記載内容等 生命保険・医療保険系商品の場合 損害保険系商品の場合
    1)保険期間中の保険料の増額、保険金額の減額 ① 保険金の支払事由の発生が著しく増加し、この保険契約の計算の基礎に重大な影響を及ぼす状況の変化が生じたときは、会社は、会社の定めるところにより、保険期間中に保険料の増額または保険金額の減額を行うことがある。 ① 事故が当社の想定を超えて頻発した結果、現行の保険料または保険金支払いを維持できなくなった場合は、保険期間の中途において保険料の増額または保険金額の減額を行うことがある。
    ② 上記①の適用を行う場合は、会社は、変更後の契約条件およびその他必要な事項を保険契約者に通知する。 ② 上記①の適用を行う場合は、保険契約者に書面により通知する。この場合、通知を行う前に生じた事故による保険金については減額しない。
    2)継続時における保険料の増額、保険金額の減額、継続の停止 ① 会社は事後検証の結果、この保険の計算の基礎率と実際が乖離したときは、更新する保険契約の保険料等または保険金額の見直しを行なうことがある。また、更新時に、会社がこの保険契約の締結を取扱っていないとき、またはこの保険が不採算であったときは、この保険契約は更新されない。保険契約の更新を取扱わないときは、会社は、保険契約の保険期間満了日の2か月前までに保険契約者にその旨を通知する。
    • ① 次のいずれかに該当する場合、更新をしない場合がある。
      • ア 重大事由による保険契約の解除に規定する事由に準ず る事由があると認められる場合
      • イ 保険契約上の義務を履行するに際して保険契約者・被保 険者が協力しないまたはこれに準ずる場合
      • ウ 当社の引受方法の変更等により更新前と同一の内容で 引受ができない場合
      • エ 事故の発生頻度、損害の状況、損害発生の可能性等を考 慮し更新しないこととした場合
    • ② 当社の事業収支を検証した結果、当社が必要と認めたときは、更新時に従前の保険契約の保険料または保険金額を変更することがある。
    • ③ 上記①または②の適用を行う場合は、保険期間満了日の2か月前までに保険契約者に書面にて通知する。
    3)保険金支払事由は発生後の保険金の削減払 ① 被保険者が、戦争その他の変乱によって死亡し、または重度障害状態になった場合に、それによって死亡しまたは重度障害状態になった被保険者の数の増加がこの保険の計算の基礎に重大な影響を及ぼすと認められるときは、会社は、その程度に応じ、死亡保険金または重度障害保険金を削減して支払うことがある。ただし、この場合でも、未経過保険料を下回ることはない。 ① 巨大災害等が発生した結果、事業収支が著しく悪化した場合は、保険金の削減払を行うことがある。
    ② 死亡保険金または重度障害保険金を削減して支払うときは、会社は、保険金の受取人に通知する。 ② 巨大災害等が発生した結果、事業収支が著しく悪化した場合は、保険金の削減払を行うことがある。
    通知を行う前に生じた事故に対しては、保険金の削減払いは行わない。

    ※なお、事業方法書に、適用時の手続きとして、例えば「上記XXの適用を行う場合は、保険計理人の意見を踏まえ、取締役会で決議し、主務官庁への届出を行う。」と記載する必要がある。

2.少額短期保険として引受けられない保険

少額短期保険業では、以下の保険の引受けはできない。

引受けられない保険の種類
① 人の生存に関し、一定額の保険金を支払うことを約する保険
② 保険期間の満了後満期返戻金を支払いを約する保険
③ 特別勘定を設けなければならない保険
④ 再保険
⑤ 保険料または保険金、返戻金その他の給付金の額が外国通貨で表示された保険c
⑥ 保険金の全部または一部を定期的に、または分割払いの方法により支払う保険であってその支払の期間が1年を超えるもの

保険業法施行令第1条の7