Regulations保険募集に関する規制

1. 保険募集規制の必要性

少額短期保険業者は、少額短期保険募集人が保険契約者等の利益を害することがないよう、適正な保険募集管理態勢を確立しなければならない。

2.少額短期保険募集人の登録・届出

  • 1)保険募集の定義

    保険募集とは、以下の①から④の行為をいう。
    少額短期保険業者向けの監督指Ⅱ−3−3−1(1)①

    • ① 保険契約の締結の勧誘
    • ② 保険契約の締結の勧誘を目的とした保険商品の内容説明
    • ③ 保険契約の申込の受領
    • ④ その他の保険契約の締結の代理または媒介

    なお、上記④に該当するか否かについては、一連の行為の中で、当該行為の位置付けを踏まえたうえで、以下の①および②の要件に照らして、総合的に判断するものとする。

    • ① 少額短期保険業者または少額短期保険募集人などからの報酬を受け取る場合や、少額短期保険業者または少額短期保険募集人と資本関係等を有する場合など、少額短期保険業者または少額短期保険募集人が行う募集行為と一体性・連続性を推測させる事情があること。
    • ② 具体的な保険商品の推奨・説明を行うものであること。
  • 2)少額短期保険募集人の登録制度と届出制度

    少額短期保険募集人の登録および届出の制度の目的は、消費者が適切な保険商品を購入できるようにすることにある。少額短期保険業者が販売する保険商品は、しばしば少額て短期間の保険であるため、保険契約者に対する説明責任が特に重要である。募集人が十分な知識と誠実な対応をしていなければ、消費者にとって不利益を被ることがあるため、これらの制度が重要である。

    少額短期保険募集人は、その立場や役職および取扱う保険商品の種類に応じて登録または届出を行う必要がある。
    保険業法275条第1項第3号、保険業法276条、保険業法302条

    少額短期保険募集人のうち、上記④および⑥の保険募集を行う者を特定少額短期保険募集人という。
    保険業法施行規則212条の3

    保険種類の区分
    第1分野 第2分野・第3分野
    少額短期保険業者の役員・使用人 ① 登録制 ④ 登録・届出不要
    少額短期保険業者の委託を受けた者 ② 登録制 ⑤ 登録制
    少額短期保険業者の委託を受けた者の役員・使用人 ③ 登録制 ⑥ 届出制

    ※ 第1分野は、生命保険に関する分野である。第2分野は、損害保険に関する分野である。第3分野は、医療保険や介護保険などに関する分野である。

3.少額短期保険募集人の登録・届出が不要な行為

  • 1)募集関連行為

    保険代理店の大型化や保険募集チャネルの多様化が進むなかで、いわゆる比較サイトや紹介行為のように、契約見込客の発掘から契約成立に至るまでの広い意味での保険募集プロセスのうち、必ずしも保険募集に該当しない行為について、保険募集人以外の者が行うケースが増加している。

    このような広義の募集プロセスのうち保険募集に該当しない行為(以下、「募集関連行為」という。)については、直ちに募集規制が適用されるものではないものの、保険契約者等の保護の観点から、保険会社または保険募集人においては、募集関連行為を第三者に委託し、またはそれに準じる関係に基づいて行わせる場合には、当該募集関連行為を受託した第三者(以下、「募集関連行為従事者」という。)が不適切な行為を行わないよう、以下の①から③の点に留意しなければならない。
    少額短期保険業者向けの監督指針 Ⅱ−3−3−1(2)

    ① 募集関連行為従事者において、保険募集行為または特別利益の提供等の募集規制の潜脱につながる行為が行われていないか。
    ② 募集関連行為従事者が運営する比較サイト等の商品情報の提供を主たる目的としたサービスにおいて、誤った商品説明や特定商品の不適切な評価など、少額短期保険募集人が募集行為を行う際に顧客の正しい商品理解を妨げるおそれのある行為を行っていないか。
    ③ 募集関連行為従事者において、個人情報の第三者への提供に係る顧客同意の取得などの手続が個人情報の保護に関する法律等に基づき、適切に行われているか。また、募集関連行為従事者への支払手数料の設定について、慎重な対応を行っているか。
  • 2)保険募集・募集関連行為のいずれにも該当しない行為

    以下の行為は、基本的に保険募集・募集関連行為のいずれにも該当しないものと考えられる。

    ① 少額短期保険業者または少額短期保険募集人の指示を受けて行う商品案内チラシの単なる配布
    ② コールセンターのオペレーターが行う、事務的な連絡の受付や事務手続き等についての説明
    ③ 金融商品説明会における、一般的な保険商品の仕組み、活用法等についての説明
    ④ 少額短期保険業者または少額短期保険募集人の広告を掲載する行為
  • 3)保険募集に該当する行為

    以下の行為は、保険募集に該当し得ると考えられる。

    ① 業として特定の少額短期保険業者の商品(群)のみを見込み客に対して積極的に紹介して、少額短期保険業者または少額短期保険募集人などから報酬を得る行為
    ② 比較サイト等の商品情報の提供を主たる目的としたサービスを提供する者が、少額短期保険業者または少額短期保険募集人などから報酬を得て、具体的な保険商品の推奨・説明を行う行為

4.情報提供義務

  • 1)情報提供義務の意義

    少額短期保険における情報提供義務の意義は、消費者が少額かつ短期の保険契約を結ぶ際に十分な情報を提供することによって、契約者がリスクを理解し、適切な判断を行えるようにすることである。少額短期保険はその名の通り、保険金額が少額で、契約期間も短期間であるため、消費者が契約条件をしっかりと理解しないまま契約してしまうリスクが高くなる可能性がある。このため、情報提供義務の強化が重要となる。

    そこで、保険業法では、少額短期保険業者または少額短期保険募集人は、保険契約の締結または保険募集等に関し、保険契約の種類および性質等を踏まえ、保険契約の内容その他保険契約者等に参考となるべき情報の提供を適正に行うことを求めている。
    保険業法第294条

  • 2)情報提供の内容

    情報の提供を行うにあたっては、顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報(以下、「契約概要」という。)と顧客に対して注意喚起すべき情報(以下、「注意喚起情報」という。)について、記載しなければならない。
    少額短期保険業者向けの監督指針Ⅱ−3−3−2(1)②

    記載項目
    ① 「契約概要」の項目
    • (ア)当該情報が「契約概要」であること。
    • (イ)商品の仕組み
    • (ウ)保障(補償)の内容
      • (注)保険金等の支払事由、支払事由に該当しない場合および免責事由等の保険金等を支払わない場合について、それぞれ主なものを記載すること。保険金等を支払わない場合が通例でないときは、特に記載すること。
    • (エ)付加できる主な特約およびその概要
    • (オ)保険期間
    • (カ)引受条件(保険金額等)
    • (キ)保険料に関する事項
    • (ク)保険料払込みに関する事項(保険料払込方法、保険料払込期間)
    • (ケ)配当金に関する事項(配当金の有無、配当方法、配当額の決定方法)
    • (コ)解約返戻金等の有無およびそれらに関する事項
    ② 「注意喚起情報」の項目
    • (ア)当該情報が「注意喚起情報」であること。
    • (イ)クーリング・オフ(法第309条第1項に規定する保険契約の申込みの撤回等)
    • (ウ)告知義務等の内容
      • (注)危険増加によって保険料を増額しても保険契約が継続できない(保険期間の中途で終了する)場合がある旨の約款の定めがあるときは、それがどのような場合であるか、記載すること。
    • (エ)責任開始期
    • (オ)保険期間
    • (カ)保険料の払込猶予期間、契約の失効等
    • (キ)保険契約者保護機構の行う資金援助等の措置がないことおよび法第270条の3第2項第1号に規定する補償対象契約に該当しないこと。
      保険業法規則第227条の2第3項第14号
    • (ク)手続実施基本契約の相手方となる指定ADR機関(法第2条第28項に規定する「指定紛争解決機関」をいう。以下同じ。)の商号または名称(指定ADR機関が存在しない場合には、苦情処理措置および紛争解決措置の内容)
    • (ケ)補償重複に関する以下の事項
      • (注)補償重複とは、複数の損害保険契約の締結により、同一の被保険利益について同種の補償が複数存在している状態をいう。
        • a.補償内容が同種の保険契約が他にある場合は、補償重複となることがあること
        • b.補償重複の場合の保険金の支払に係る注意喚起
        • c.補償重複の主な事例
    • (コ)特に法令等で注意喚起することとされている事項
    ③ その他の保険契約者等に参考となるべき情報
  • 3)情報提供の方法

    少額短期保険業者またはお少額短期保険募集人は、保険契約の内容その他保険契約者等の参考となるべき情報の提供を行う場合には、保険契約者および被保険者に対し、保険契約の内容その他保険契約に関する情報を記載した書面を用いて説明し、その書面の交付しなければならない。
    保険業法施行規則第227条の2第3項第1号

    また、保険契約の締結または保険契約に加入することの判断に参考となるべき事項に関する説明をしなければならない。
    保険業法施行規則第227条の2第3項第2号

  • 4)情報提供義務の提供除外

    • イ)契約概要・注意喚起情報を記載した書面等によらずに情報提供できる場合
      保険業法施行規則第227条の2

      以下の保険契約を取り扱う場合は、保険契約者または被保険者との合意に基づく方法その他当該保険契約の特性等に照らして、施行規則に規定された方法によらなくとも説明が可能である。
      保険業法施行規則第227条の2第3項第3号

      ① 事業者の事業活動に伴って生ずる損害を填補する保険契約その他内容の個別性または特殊性が高い保険契約
      ② 1年間に支払う保険料の額が5,000円以下である保険契約
      ③ 団体保険に係る保険契約
      ④ 既に締結している保険契約の一部の変更をすることを内容とする保険契約(当該変更に係る部分に限る。)
    • ロ)被保険者に対する情報提供が不要となる場合

      保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして、次の場合は被保険者への情報提供は不要とされている。

      ① 被保険者が負担する保険料の額が零である保険契約
      保険業法施行規則第227条の2第9項第1号イ)
      ② 保険期間が1月以内であり、かつ、被保険者が負担する保険料の額が1,000円以下である保険契約
      保険業法施行規則第227条の2第9項第1号ロ)
      ③ 被保険者に対する商品の販売もしくは役務の提供または行事の実施等に付随して引き受けられる保険に係る保険契約(加入に係る被保険者の意思決定を要しないものであって、当該主たる商品の販売等に起因する損害等を対象とするものその他の当該主たる商品の販売等と関連性を有するものに限る。)
      保険業法施行規則第227条の2第9項第1号ハ)
      ④ 公的年金制度等の加入者が被保険者となる保険契約
      保険業法施行規則第227条の2第9項第1号ニ)
  • 5)情報提供義務に係る体制整備

    少額短期保険業者および少額短期保険募集人は、「契約概要」および「注意喚起情報」を記載した書面の交付またはこれに代替する電磁的方法による提供を行うために、以下のような体制を整備しなければならない。
    少額短期保険業者向けの監督指針Ⅱ−3−3−2(2)

    ① 当該書面において、顧客に対して、少額短期保険業者における苦情・相談の受付先を明示しなければならない。
    ② 「注意喚起情報」を記載した書面において、手続実施基本契約の相手方となる指定ADR機関の商号または名称を明示しなければならない。
    ③ 当該書面に記載すべき事項について、以下の点についえ留意した記載としなければならない。
    • (ア)文字の大きさや記載事項の配列等について、顧客にとって理解しやすい記載とする。
      • (注)例えば、文字の大きさを8ポイント以上とすること、文字の色、記載事項について重要度の高い事項から配列する、グラフや図表の活用などの工夫。
    • (イ)記載する文言の表示にあたっては、その平明性および明確性が確保されていなければならない。
      • (注)例えば、専門用語について顧客が理解しやすい表示や説明とされているか。顧客が商品内容を誤解するおそれがないような明確な表示や説明とされているか。
    • (ウ)顧客に対して具体的な数値等を示す必要がある事項(保険期間、保険金額、保険料等)については、その具体的な数値が記載しなければならない。
      • (注)具体的な数値等を記載することが困難な場合は、顧客に誤解を与えないよう配慮のうえ、例えば、代表例、顧客の選択可能な範囲、他の書面の当該数値等を記載した箇所の参照等の記載を行うこと。
    • (エ)当該書面に記載する情報量については、顧客が理解しようとする意欲を失わないよう配慮するとともに、保険商品の特性や複雑性にあわせて定めなければならない。
    • (オ)当該書面は他の書面とは分離・独立した書面としなければならない。他の書面と同一の書面とする場合は、他の情報と明確に区別し、重要な情報であることが明確になるように記載しなければならない。
    ④ 顧客に当該書面の交付またはその他適切な方法による提供を行うことに加えて、少なくとも以下のような情報の提供および説明が口頭により行わなければならない。
    • (ア)当該書面を読むことが重要であること。
    • (イ)主な免責事由など顧客にとって特に不利益な情報が記載された部分を読むことが重要であること。
    • (ウ)乗換の場合は、これらが顧客に不利益になる可能性があること。
    ⑤ 当該書面の交付またはその他適切な方法による提供にあたって、契約締結に先立ち、顧客が当該書面の内容を理解するための十分な時間が確保されなければならない。
    • (注1)「注意喚起情報」を記載した書面については、顧客に対して効果的な注意喚起を行うため、契約の申込時に説明・交付することでも足りる。
    • (注2)顧客に対する十分な時間の確保にあたっては、保険商品の特性や販売方法を踏まえる一方、顧客の理解の程度やその利便性が損なわれないかについて考慮するものとする。
    ⑥ 電話・郵便・インターネット等のような非対面・非接触の方式による情報の提供および説明を行う場合は、上記①から⑤に規定する内容と同程度の情報の提供および説明が行わなければならない。例えば、少なくとも次のような方法により、顧客に対して適切な情報の提供や説明を行わなければならない。
    • (ア)電話による場合
      募集人が顧客に対して口頭にて説明すべき事項を定めて、当該書面の内容を適切に説明するとともに、当該書面を読むことが重要であることを口頭にて説明のうえ、遅滞なく当該書面を交付またはこれに代替する電磁的方法により提供する方法
    • (イ)郵便による場合
      当該書面を読むことが重要であることを顧客が十分認識できるような記載を行ったうえで、当該書面を顧客に送付またはこれに代替する電磁的方法により提供する方法
    • (ウ)インターネット等による場合
      当該書面の記載内容、記載方法等に準じて電磁的方法による表示を行ったうえで、当該書面を読むことが重要であることを顧客が十分認識できるよう電磁的方法による説明を行う方法
      • (注1)上記④に規定する内容と同程度とは、例えば、郵便の場合は書面への記載、インターネット等の場合は電磁的方法による表示により、口頭による情報の提供および説明に代えることが考えられる。
      • (注2)郵便による場合、当該書面を読むことが重要であることを顧客が十分認識できるような書面を併せて送付することでも足りる。
      • (注3)インターネット等による場合、当該書面の郵送等に代えて、印刷や電磁的方法による保存などの手段が考えられる。
    ⑦ 団体保険について、保険契約者である団体が被保険者となる者に対して加入勧奨を行う場合は、上記①から⑥の内容について、少額短期保険業者または少額短期保険募集人が顧客に対して行うのと同程度の情報の提供および説明が適切に行われなければならない。
    ⑧ 顧客から「契約概要」および「注意喚起情報」を記載した書面ならびに契約締結前交付書面の記載事項を了知した旨を十分に確認し、事後に確認状況を検証できるようにしなければならない。
    とりわけ、これらの書面をインターネット等の非対面・非接触の方式で電磁的方法により提供する場合であっても、対面の方式で書面を交付して説明する場合と同程度に、顧客が書面の記載事項を了知した旨の確認を適切に行わなければならない。
    • (注)インターネット等の非対面・非接触の方式で電磁的方法により提供する場合に顧客が書面の記載事項を了知した旨の確認をする方法としては、例えば、テレビ会議システムを利用したうえで、適宜、書面の記載事項を画面上に表示して説明を行うとともに、顧客とのコミュニケーションを通じて、その了知の有無を確認することが考えられる。
      映像によって顧客の了知の確認ができない方式においては、必要に応じて電話等で補足をすること、書面を全て閲覧しないと申込みのページに遷移できない仕組みとすることや、当該書面の内容を読んで了知したことについての質問およびチェックボックスを設けること等の措置を、顧客の特性等に応じて組み合わせることによって、顧客の了知の有無を確認することが考えられる。
    • 特に、「注意喚起情報」の項目のうち、以下に事項について、顧客から署名もしくは押印を得るための措置またはこれに準ずる措置を講じなければならない。
      • 保険契約者保護機構の行う資金援助等の措置がないことおよび法第270条の3第2項第1号に規定する補償対象契約に該当しないこと。
      • 特に法令等で注意喚起することとされている事項
    ⑨ 少額短期保険募集人が顧客に対して明らかにする氏名に係る態勢整備関係
    少額短期保険募集人が顧客に対して明らかにする氏名について、旧氏を使用する場合は、保険業者において、少額短期保険募集人として登録・届出を行っている氏名と顧客に対して明らかにする氏名を適切に管理する態勢を整備した上で、旧氏を使用することができる。

5.意向把握・意向確認の義務

  • 1)意向把握・意向確認の義務の意義

    少額短期保険業者または少額短期保険募集人は、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等の提案、当該保険契約の内容の説明および保険契約の締結等に際して、顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供しなければならない。
    保険業法第294条の2

  • 2)意向把握・意向確認の方法

    意向把握・確認の方法については、顧客が、自らのライフプランや公的保険制度等を踏まえ、自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を適切に理解しつつ、その意向に保険契約の内容が対応しているかどうかを判断したうえで保険契約を締結するよう図らなければならない。そのために、公的保険制度についての情報提供を適切に行うなど、取り扱う商品や募集形態を踏まえ、少額短期保険業者または少額短期保険募集人の創意工夫による方法で行わなければならない。
    具体的には、例えば、以下の ①から④のような方法が考えられる。
    少額短期保険業者向けの監督指針Ⅱ−3−3−2(3)①

    ① 保険金額や保険料を含めた当該顧客向けの個別プランを説明・提案するにあたり、当該顧客の意向を把握する。その上で、当該意向に基づいた個別プランを提案し、当該プランについて当該意向とどのように対応しているかも含めて説明する。
    その後、最終的な顧客の意向が確定した段階において、その意向と当初把握した主な顧客の意向を比較し、両者が相違している場合にはその相違点を確認する。
    さらに、契約締結前の段階において、当該意向と契約の申込みを行おうとする保険契約の内容が合致しているかどうかを確認(=「意向確認」)する。
    • (注1)事前に顧客の意向を把握する場合、例えば、アンケート等により把握することが考えられる。
    • (注2)顧客の意向を把握することには、例えば、性別や年齢等の顧客属性や生活環境等に基づき推定するといった方法が含まれる。この場合においては、個別プランの作成・提案を行う都度、設計書等の交付書類の目立つ場所に、推定(把握)した顧客の意向と個別プランの関係性をわかりやすく記載し説明するなど、どのような意向を推定(把握)して当該プランを設計したかの説明を行い、当該プランについて、当該意向とどのように対応しているかも含めて説明することが考えられる。
    • (注3)ペットや不動産購入等に伴う補償を望む顧客に係る意向の把握および説明・提案については、顧客自身が必要とする補償内容を具体的にイメージしやすく、そのため意向も明確となることから、主な意向・情報を把握したうえで、個別プランの作成・提案を行い、主な意向と個別プランの比較を記載するとともに、少額短期保険業者または少額短期保険募集人が把握した顧客の意向と個別プランの関係性をわかりやすく説明することが考えられる。
    ② 事業者の事業活動に伴って生ずる損害をてん補する保険契約については、顧客の保険に係る知識の程度や商品特性に応じて適切な意向把握および意向確認を行う。
    ③ 一年間に支払う保険料の額が五千円以下である保険契約における意向把握については、商品内容・特性に応じて適切に行うものとする。
    ④ 保険契約者である団体が被保険者となる者に対して加入勧奨を行う場合は、保険商品が被保険者の意向に合致した内容であることを確認する機会を確保するものとする。
  • 3)意向把握・意向確認の対象

    例えば、以下のような顧客の意向に関する情報を把握・確認しなければならない。
    少額短期保険業者向けの監督指針Ⅱ−3−3−2(3)②

    ① どのような分野の保障・補償を望んでいるか。 (死亡保険、医療保険、家財保険、ペット保険等)
    ② 顧客が求める主な保障・補償内容
    ③ 保険料、保険金額に関する範囲の希望
  • 4)意向把握・意向確認義務の適用除外

    既存契約の更新や一部変更の場合において、実質的な変更に該当する場合は、当該変更部分について適切に意向把握・確認を行うものとする。

  • 5)意向把握・意向確認義務に係る体制整備

    少額短期保険業者および少額短期保険募集人においては、法第294条の2に規定する措置に関し、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客の意向に合致した内容であることを顧客が確認する機会を確保し、顧客が保険商品を適切に選択・購入することを可能とするため、そのプロセス等を社内規則等で定めるとともに、所属する少額短期保険募集人に対して適切な教育・管理・指導を実施するほか、以下のような体制が整備しなければならない。

    • ① 意向把握に係る体制整備

      少額短期保険業者または少額短期保険募集人のいずれか、または双方において、意向把握に係る業務の適切な遂行を確認できる措置を講じなければならない。ているか。例えば、適切な方法により、保険募集のプロセスに応じて、意向把握に用いた帳票等(例えば、アンケートや設計書等)であって、顧客の最終的な意向と比較した顧客の意向に係るものおよび最終的な意向に係るものを保存するなどの措置を講じなければならない。

    • ② 意向確認に係る体制整備

      少額短期保険業者または少額短期保険募集人において、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客の意向に合致した内容であることを顧客が確認する機会を確保し、顧客が保険商品を適切に選択・購入することを可能とするため、適切な遂行を確認できる措置を講じなければならない。
      (注)団体保険について、保険契約者である団体が被保険者となる者に対して加入勧奨を行う場合は、保険商品が被保険者の意向に合致した内容であることを確認する機会を確保するため、以下の(ア)から(コ)までのような体制整備と同程度の措置を講じなければならない。

      (ア)意向確認書面の作成・交付
      少額短期保険業者または少額短期保険募集人においては、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客の意向に合致しているものかどうかを、顧客が契約締結前に最終的に確認する機会を確保するために、顧客の意向に関して情報を収集し、保険商品が顧客の意向に合致することを確認する書面(以下、「意向確認書面」という。)を作成し、顧客に交付するとともに、少額短期保険業者または少額短期保険募集人において保存しなければならない。
      (イ)意向確認書面の記載事項
      意向確認書面には、以下の事項が記載されているか。
      • a.顧客の意向に関する情報
      • b.保険契約の内容が当該意向とどのように対応しているか。
      • c.その他顧客の意向に関して特に記載すべき事項
      • d.少額短期保険募集人等の氏名・名称
        顧客に対して当該書面の作成責任者を明らかにするために記載されているか。
        なお、少額短期保険募集人が旧姓を使用する場合には、少額短期保険業者において、少額短期保険募集人として登録・届出を行っている氏名と顧客に対して明らかにする氏名を適切に管理する態勢を整備する必要がある。
      (ウ)意向確認書面の記載方法
      意向確認書面は顧客にとってわかりやすい記載としなければならない。
      なお、顧客の意向に関する情報については、例えば、当該書面に予め想定される顧客の意向に関する情報の項目を列挙するといった方法も認められるが、その場合は、予め想定できない顧客の意向に関する情報を記載するため、特記事項欄等を設けるものとする。
      (エ)意向確認書面の確認・交付時期
      意向確認書面により、保険契約を締結するまでに、顧客が申込みを行おうとしている保険契約の内容が顧客の意向と合致しているか否かの確認を行わなければならない。
      また、顧客が確認した意向確認書面は、顧客の確認後、遅滞なく顧客へ交付しなければならない。
      なお、顧客が即時の契約締結を求めている場合や電話による募集の場合など当該書面の即時の交付が困難な場合は、顧客の利便性を考慮し、意向確認書面に記載すべき内容を口頭にて確認のうえ、意向確認書面を事後に遅滞なく交付することでも足りる。
      (オ)意向確認書面の記載内容の確認・修正
      意向確認書面の記載内容のうち、特に顧客の意向に関する情報については、顧客に対して事実に反する記載がないかを確認するとともに、顧客から当該部分の記載の修正を求められた場合には速やかに対応しなければならない。
      (カ)保険契約の内容に関する意向の確認
      顧客が申込みを行おうとする保険契約の内容のうち、顧客が自らの意向に合致しているかの確認を特に必要とする事項(主契約や特約ごとの具体的な保障(補償)内容、保険料(保険料払込方法、保険料払込期間を含む。)および保険金額、保障(補償)期間、配当の有無など)については、意向確認書面に確認のための設問を設ける等の方法により、顧客に対して再確認を促すような工夫しなければならない。
      (キ)意向確認書面の媒体等
      意向確認書面については、顧客における保存の必要性を考慮し、書面により交付しなければならない。
      なお、必ずしも独立した書面とする必要はないが(申込書と一体で作成することも可能と考えられる。)、他の書面と同一の書面とする場合には、意向確認書面に該当する部分を明確に区別して記載する必要があることに留意すること。
      また、当該書面は少額短期保険業者または少額短期保険募集人と顧客の双方が確認するために交付される書面であることから、少額短期保険業者または少額短期保険募集人においても書面等を事後的に確認できる方法により保存しなければならない。
      (注)電子メール等の電磁的方法による交付を行う場合は、顧客の了解を得ていること、および印刷または電磁的方法による保存が可能であることが必要である。
      (ク)顧客が意向確認書面の作成および交付を希望しない場合の対応
      顧客が当該書面の作成および交付を希望しない場合は、顧客に対して、当該書面の役割(契約の申込みを行おうとする保険契約の内容が顧客の意向に合致するか否かを少額短期保険業者または少額短期保険募集人および顧客の双方が確認するための書面であること等)を書面等により説明するとともに、事後に顧客が意向確認書面の作成および交付を希望しなかったことが検証できる態勢にしなければならない。
      (ケ)意向確認書面の記載事項等の検証等
      意向確認書面の作成および交付については、保険商品の特性や販売方法の状況の変化に応じて、また顧客等からの苦情・相談の内容を踏まえながら、その記載事項や記載方法、収集すべき顧客の意向に関する情報およびその収集方法等について検証のうえ、必要に応じ見直しを行わなければならない。
      (コ)取り扱える少額短期保険業者および保険会社の範囲の説明等
      少額短期保険募集人が取り扱える少額短期保険業者および保険会社の範囲(例えば、専属か乗合か、乗合の場合には取り扱える少額短期保険業者および保険会社の数等の情報等)を説明するとともに、顧客が告知を行おうとする際には、告知受領権の有無についてその説明を行わなければならない。
  • 6)顧客の意向に基づかない補償重複に係る対応

    少額短期保険業者または少額短期保険募集人は、補償重複のうち、顧客の意向に基づかないものについて、その発生防止や解消を図る観点から、新規契約や契約の更新・更改(以下、「新規契約等」という。)にあたって、顧客に対し、補償重複に係る説明等が十分かつ適切に行われることを確保するため、以下の取組みを行わなければならない。

    ① 社内規則等において、補償重複に係る説明の確実な実施方法等、補償重複に係る対応を実施するための必要事項を適切に定めているか。
    ② 少額短期保険募集人に対して、補償重複に関する適切な教育・管理・指導を行っているか。
    ③ 自社で取り扱う保険商品(特約を含む。)のうち、組み合わせて契約した場合に補償重複となる保険商品の組合せの一覧を作成しているか。
    また、新たな保険商品の販売開始時等、必要に応じて一覧の見直しを行っているか。
    ④ 新規契約等における商品説明にあたっては、顧客に対し、当該保険商品と組み合わせて契約した場合に、補償重複となる保険に既に加入していないかを確認することとしているか。
    また、補償重複に該当する保険に既に加入している場合には、保険料と保険金の関係について明示的に説明したうえで、顧客の意向の有無を確認し、当該顧客の意向を踏まえた適切な内容の補償を提供しているか。
    ⑤ 補償重複に係る顧客に対する確認・説明の実態を把握・検証できる態勢を構築しているか。

6.保険募集に関する禁止行為

保険業法は、消費者の利益を保護するために保険募集に関する禁止行為を定めている。保険募集人や保険会社は、誠実に業務を行い、顧客に対して適正な情報を提供しなければならないと規定されている。これに違反すると、業務停止や罰金、免許取り消しなどの法的措置が取られる可能性があるため、十分な注意が必要である。

  • 1)不利益事実を説明しない乗換募集の禁止

    一定金額の金銭をいわゆる解約控除等として保険契約者が負担することとなる場合があること、一定期間の契約継続を条件に発生する配当に係る請求権を失う場合があること、被保険者の健康状態の悪化等のため新たな保険契約を締結できないこととなる場合があることなど、不利益となる事実を告げなければいけない。また、顧客が不利益となる事実を了知した旨を十分確認しなければならない。
    保険業法第300条第1項第4号関係

  • 2)特別利益の提供の禁止

    保険契約者または被保険者に対して、保険料の割引や割戻し、その他特別の利益の提供を約束、または提供する行為をしてはならない。
    保険業法第300条第1項第5号関係

    • ① 特別利益の提供について

      少額短期保険業者および少額短期保険募集人が、保険契約の締結または保険募集に関し、保険契約者または被保険者に対して、各種のサービスや物品を提供する場合においては、以下のような点に留意して、「特別利益の提供」に該当しないものとしなければならない。

      • (ア)当該サービス等の経済的価値および内容が、社会相当性を超えるものとなっていないか。
      • (イ)当該サービス等が、換金性の程度と使途の範囲等に照らして、実質的に保険料の割引・割戻しに該当するものとなっていないか。
      • (ウ)当該サービス等の提供が、保険契約者間の公平性を著しく阻害するものとなっていないか。
      • なお、少額短期保険業者は、当該サービス等の提供を通じ、他業禁止に反する行為を行っていないかについても留意する。
      • (注)少額短期保険業者が、保険契約者または被保険者に対し、保険契約の締結によりポイントを付与し、当該ポイントに応じた生活関連の割引サービス等を提供している例があるが、その際、ポイントに応じてキャッシュバックを行うことは、保険料の割引・割戻しに該当し、禁止されていることに留意する。
    • ② 連鎖販売取引的手法との関係

      募集人組織を連鎖的に拡大させることを目的とした手数料の設定を行っている場合や保険募集手数料が保険募集を行う他の募集人等の募集実績により加算されるような手数料設定を行っている場合、特に特定商品取引法における連鎖販売取引あるいはそれに類似する手法を用いて保険商品の販売を行う場合においては、募集人等となる保険契約者に対して利益を約すること等「特別利益の提供」に該当するものとしなければならない。
      なお、この場合には、保険募集に従事する者が少額短期保険募集人であるかについても留意する。

      • (注)募集関連行為従事者の手数料や、少額短期保険募集人が行う保険募集人指導事業に係る金銭の支払についても、それらの体系と募集人組織との組み合わせによっては、特別利益の提供等の潜脱につながる可能性があることに留意する。
    • ③ 規則第234条第1項第1号関係

      少額短期保険業者は、少額短期保険募集人および金融サービス仲介業者に対し、保険料の割引、割戻し等を目的とした保険募集および保険媒介業務を行うことがないよう指導および管理等の措置を講じているか。

  • 3)誤解されるおそれのある比較表示の禁止

    保険契約者もしくは被保険者または不特定の者に対して、1の保険契約の契約内容につき、他の保険契約の契約内容と比較した事項であって誤解させるおそれのあるものを告げたり、または表示する行為をしてはならない。
    保険業法第300条第1項第6号関係

    • ① 次に掲げるような比較表示を行ってはならない。

      少額短期保険業者および少額短期保険募集人が、保険契約の締結または保険募集に関し、保険契約者または被保険者に対して、各種のサービスや物品を提供する場合においては、以下のような点に留意して、「特別利益の提供」に該当しないものとしなければならない。

      • (ア)客観的事実に基づかない事項または数値を表示すること。
      • (イ)保険契約の契約内容について正確な判断を行うに必要な事項の一部のみを表示すること。
      • (ウ)保険契約の契約内容について、長所のみをことさらに強調したり、長所を示す際にそれと不離一体の関係にあるものを併せて示さないことにより、あたかも全体が優良であるかのように表示すること。
      • (エ)社会通念上または取引通念上同等の保険種類として認識されない保険契約間の比較について、あたかも同等の保険種類との比較であるかのように表示すること。
      • (オ)現に提供されていない保険契約の契約内容と比較して表示すること。
      • (カ)他社の保険契約の内容について、具体的な情報を提供する目的ではなく、当該保険契約を陥れる目的で、その短所を不当に強調して表示すること等により、当該保険契約を誹謗・中傷すること。
    • ② 他の保険会社等との商品等との比較表示を行う場合には、書面等を用いて次の事項を含めた表示が行われ、かつ、他社商品の特性等について不正確なものとならないようにしなければならない。

      • (ア)保険期間
      • (イ)保障内容(保険金を支払う場合、主な免責事由等)
      • (ウ)引受条件(保険金額等)
      • (エ)各種特約の有無およびその内容
      • (オ)保険料率・保険料(なるべく同一の条件での事例設定を行い、算出条件を併記する。)
      • (カ)保険料払込方法
      • (キ)払込保険料と満期返戻金との関係
      • (ク)その他保険契約者等の保護の観点から重要と認められるもの
  • 4)誤解を招く予想配当表示の禁止

    保険契約者もしくは被保険者または不特定の者に対して、将来における契約者配当または社員に対する剰余金の分配その他将来における金額が不確実な事項について、断定的判断を示し、または確実であると誤解させるおそれのあることを告げ、もしくは表示する行為をしてはならない。
    保険業法第300条第1項第7号関係

  • 5)威迫、業務上の地位等の不当利用の禁止

    保険契約者または被保険者に対して、威迫し、または業務上の地位等を不当に利用して保険契約の申込みをさせ、または既に成立している保険契約を消滅させる行為をしてはならない。
    保険業法第300条第1項第9号関係

    • ① 威迫、業務上の地位等の不当利用の禁止
      • (ア)少額短期保険業者、少額短期保険業者の役員または少額短期保険募集人は、保険契約者または被保険者を威迫する行為その他これに類似する行為として以下に掲げる行為等を行ってはならない。
        保険業法施行規則第234条第1項第2号関係
        • ⅰ)顧客に対し、威圧的な態度や乱暴な言葉等をもって著しく困惑させること。
        • ⅱ)勧誘に対する拒絶の意思を明らかにした顧客に対し、その業務もしくは生活の平穏を害するような時間帯に執拗に訪問しまたは電話をかける等社会的批判を招くような方法により保険募集を行うこと。
      • (イ)「業務上の地位等を不当に利用」とは、例えば、職務上の上下関係等に基づいて有する影響力をもって、顧客の意思を拘束する目的で利益または不利益を与えることを明示することをいうが、このような行為を行ってはならならい。
        保険業法施行規則第234条第1項第4号関係
    • ② 誤解を招く保険会社等の信用、支払い能力等の表示の禁止
    • ③ 保険の種類または保険会社等の商号もしくは名称を他のものと誤解させるおそれのある行為の禁止

      保険契約者もしくは被保険者または不特定の者に対して、保険契約等に関する事項でその判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、誤解させるおそれのあることを告げ、または表示する行為を行ってはならない。

      • (ア)少額短期保険業者の信用または支払能力等を表示する場合の適正な措置が講じられているか。
      • (イ)少額短期保険業者の信用または支払能力等の表示に関し、誤解させるおそれのあることを告げ、または表示する行為には次のような行為が考えられる。
        • ⅰ)業務報告書および中間業務報告書に記載された数値もしくは業務および財産の状況に関する説明書類に記載された数値または信用ある格付業者の格付以外のものを用いて、少額短期保険業者の資力、信用または支払能力等に関する事項を表示すること。
        • ⅱ)使用した客観的数値等の出所、付された時点、手法等を示さずその意味について、十分な説明を行わずまたは虚偽の説明を行うこと。
        • ⅲ)表示された客観的数値等が優良であることをもって、当該少額短期保険業者の保険契約の支払が保証されていると誤認させること。
        • ⅳ)一部の数値のみを取り出して全体が優良であるかのように表示すること。
        • ⅴ)他の保険会社等を誹謗・中傷する目的で、当該他の保険会社等の信用または支払能力等に関してその劣後性を不当に強調して表示すること。
        • ⅵ)保険契約者保護機構の行う資金援助等の措置がないこと、および補償対象契約に該当しないことを記載した書面を用いて行う説明および当該書面の交付を行わないこと。
    • ③ 保険の種類または保険会社等の商号もしくは名称を他のものと誤解させるおそれのある行為の禁止

      保険契約者に対して、保険契約に係る保険の種類または保険会社等または外国保険会社等の商号もしくは名称を他のものと誤解させるおそれのあることを告げる行為を行ってはならない。
      保険業法施行規則第234条第1項第5号関係

  • 6)保険募集に関し著しく不適当な行為の排除

    「その他保険募集に関し著しく不適当な行為」に抵触する行為を排除する措置を講じなければならない。
    保険業法第307条第1項第3号関係

  • 7)告知事項・告知書

    • ① 保険法において、告知義務が自発的申告義務から質問応答義務となったことの趣旨を踏まえ、保険契約者等に求める告知事項は、保険契約者等が告知すべき具体的内容を明確に理解し告知できるものにしなければならない。
      例えば、「その他、健康状態や病歴など告知すべき事項はないか。」といったような告知すべき具体的内容を保険契約者等の判断に委ねるようなものとしてはいけない。
    • ② 告知書の様式は、保険契約者等に分かりやすく、必要事項を明確にしたものとしなければならない。
  • 8)その他

    • ① 保険契約の締結(名義変更等による契約の変更を含む。)または保険募集に関して、架空契約や保険金詐取を目的とする契約等の不正な保険契約の発生を防止するために、以下のような措置が講じなければならない。
      • (ア)業績を指向するあまり、金融機関への過度の預金協力による見込み客の獲得、保険料ローンを不正に利用した募集、特定の代理店等に対する過度の便宜供与等の過当競争の弊害を招きかねない行為のほか、作成契約、超過保険契約等の不適正な行為を防止するための措置。
      • (イ)保険契約者(法人、個人事業主を含む。)について、運転免許証やパスポート等の本人を特定し得る書類による確認、企業等の法人(個人事業主を含む。)の存在が確認できる書類による確認、保険証券を郵送し、当該郵便物が返戻されなかったことをもってする確認、本人確認を行った保険料収納機関からの確認、少額短期保険募集人の訪問や少額短期保険業者が電話等の通信機器・情報処理機器を利用し保険契約者と交信することによる確認その他適切な方法により、本人確認もしくは実在の確認、または法人の事業活動の有無の把握の措置。
      • (ウ)保険契約申込みや契約変更時の健康診査において、医師による運転免許証やパスポート等の本人を特定し得る書類による確認、少額短期保険募集人の同行や少額短期保険業者等が直接面接することによる確認その他適切な方法による被保険者の本人確認、の措置。
      • (エ)当初から短期の中途解約を前提とした契約等の保険本来の趣旨を逸脱するような募集活動を行わせないなど、保険商品のそれぞれの商品特性に応じ、その本来の目的に沿った利用が行われるための適切な募集活動に対する措置。
    • ② 保険契約締結の申込みがあったにも関わらず、締結しないこととする場合は、可能な限り合理的な理由を説明するなど、顧客の理解が得られるよう努めなければならない。
  • 9)監督手法・対応

    保険募集態勢について問題があると認められる場合には、少額短期保険募集人に対し、必要に応じて法第305条に基づき報告を求めるとともに、少額短期保険業者の態勢の検証も併せて行い、重大な問題があると認められる場合には行政処分を行うものとする。 また、管轄区域内の少額短期保険募集人が他の財務局に登録している少額短期保険業者に属している場合(複数乗合含む。)は、監督対応について当該財務局と協議のうえ、対応すること。

  • 10)募集文書等の表示に関するガイドライン

    一般社団法人日本少額短期保険協会では「募集文書等の表示に関するガイドライン 」を策定している。
    募集文書等の表示に関するガイドライン