少額短期保険業とは、保険業のうち、保険期間が2年以内の政令で定める期間以内であって、
保険金額が1,000万円を超えない範囲内において政令で定める金額以下の保険のみの引受けを行う事業をいう。
保険業法2条第17号
少額短期保険業者として引き受けられる期間は、原則として1年とされており、損害保険分野については2年とされている。
少額短期保険業者も、保険契約の自動更新を規定することは認められている。
保険業法施行規則211条の30第1号
保険契約者から保険期間の満了の日までに更新しない旨の申出がない限り更新される保険契約を取り扱う場合に
あっては、更新後の保険契約について、保険料の計算の方法、保険金額について見直す場合があることを記載
した書面を用いて行う説明及び当該書面の交付が必要とされている。
保険業法施行規則227条の2第3項第13号
被保険者1人につき上記イ)①死亡保険から⑥損害保険までの保険の保険金額の合計額については1,000万円とする。
保険業法第2条第17号
なお、上記イ)⑦低発生率保険については、上述の上限額とは別に1,000万円まで引受けることができる。
保険業法施行令第1条の6
少額短期保険業者は、保険契約者1人について引受ける上記イ)①から⑥の保険の区分に応じた保険金額に100を乗じて得た金額(以下「上限総保険金額」という。)を限度額となる。
保険業法第272条の13第1項
ただし、上記イ)⑤の保険については、調整規定付傷害死亡保険以外の保険は3億円、調整規定付傷害死亡保険は6億円から調整規定付傷害死亡保険以外の保険に係る保険金額の合計額を控除した金額が限度額となる。
保険業法施行令第38条の9第1項
少額短期保険業者は、「保険料の増額又は保険金の削減に関する事項」を普通保険約款に記載しなければならない。
保険業法施行規則211条の5第4号
※なお、事業方法書に、適用時の手続きとして、例えば「上記XXの適用を行う場合は、保険計理人の意見を踏まえ、取締役会で決議し、主務官庁への届出を行う。」と記載する必要がある。
少額短期保険業では、以下の保険について、その引受けはできない。
保険業法施行令第1条の7
少額短期保険業では、生命保険と損害保険を兼営することが可能とされている。
少額短期保険業者は、少額短期保険募集人が保険契約者等の利益を害することがないよう、適正な保険募集管理態勢を確立しなければならない。
少額短期保険募集人の登録および届出の制度の目的は、消費者が適切な保険商品を購入できるようにすることにある。少額短期保険業者が販売する保険商品は、しばしば少額て短期間の保険であるため、保険契約者に対する説明責任が特に重要である。募集人が十分な知識と誠実な対応をしていなければ、消費者にとって不利益を被ることがあるため、これらの制度が重要である。
少額短期保険募集人は、その立場や役職および取扱う保険商品の種類に応じて登録または届出を行う必要がある。
保険業法275条第1項第3号
保険業法276条
保険業法302条
少額短期保険募集人のうち、上記④および⑥の保険募集を行う者を特定少額短期保険募集人という。
保険業法施行規則212条の3
保険代理店の大型化や保険募集チャネルの多様化が進むなかで、いわゆる比較サイトや紹介行為のように、契約見込客の発掘から契約成立に至るまでの広い意味での保険募集プロセスのうち、必ずしも保険募集に該当しない行為について、保険募集人以外の者が行うケースが増加している。
このような広義の募集プロセスのうち保険募集に該当しない行為(以下、「募集関連行為」という。)については、直ちに募集規制が適用されるものではないものの、保険契約者等の保護の観点から、保険会社または保険募集人においては、募集関連行為を第三者に委託し、またはそれに準じる関係に基づいて行わせる場合には、当該募集関連行為を受託した第三者(以下、「募集関連行為従事者」という。)が不適切な行為を行わないよう、以下の①から③の点に留意しなければならない。
少額短期保険業者向けの監督指針
Ⅲ−3−3−1(2)
以下の行為は、基本的に保険募集・募集関連行為のいずれにも該当しないものと考えられる。
以下の行為は、保険募集に該当し得ると考えられる。
少額短期保険における情報提供義務の意義は、消費者が少額かつ短期の保険契約を結ぶ際に十分な情報を提供することによって、契約者がリスクを理解し、適切な判断を行えるようにすることである。少額短期保険はその名の通り、保険金額が少額で、契約期間も短期間であるため、消費者が契約条件をしっかりと理解しないまま契約してしまうリスクが高くなる可能性がある。このため、情報提供義務の強化が重要となる。
そこで、保険業法では、少額短期保険業者又は少額短期保険募集人は、保険契約の締結又は保険募集等に関し、保険契約の種類及び性質等を踏まえ、保険契約の内容その他保険契約者等に参考となるべき情報の提供を適正に行うことを求めている。
保険業法第294条
情報の提供を行うにあたっては、顧客が保険商品の内容を理解するために必要な情報(以下、「契約概要」という。)と顧客に対して注意喚起すべき情報(以下、「注意喚起情報」という。)について、記載しなければならない。
少額短期保険業者向けの監督指針
Ⅲ−3−3−2(1)②
少額短期保険業者またはお少額短期保険募集人は、保険契約の内容その他保険契約者等の参考となるべき情報の提供を行う場合には、保険契約者及び被保険者に対し、保険契約の内容その他保険契約に関する情報を記載した書面を用いて説明し、その書面の交付しなければならない。
保険業法施行規則第227条の2第3項第1号
また、保険契約の締結または保険契約に加入することの判断に参考となるべき事項に関する説明をしなければならない。
保険業法施行規則第227条の2第3項第2号
以下の保険契約を取り扱う場合は、保険契約者又は被保険者との合意に基づく方法その他当該保険契約の特性等に照らして、施行規則に規定された方法によらなくとも説明が可能である。
保険業法施行規則第227条の2第3項第3号
保険契約者等の保護に欠けるおそれがないものとして、次の場合は被保険者への情報提供は不要とされている。
少額短期保険業者及び少額短期保険募集人は、「契約概要」及び「注意喚起情報」を記載した書面の交付又はこれに代替する電磁的方法による提供を行うために、以下のような体制を整備しなければならない。
少額短期保険業者向けの監督指針Ⅲ−3−3−2(2)
少額短期保険業者又は少額短期保険募集人は、顧客の意向を把握し、これに沿った保険契約の締結等の提案、当該保険契約の内容の説明及び保険契約の締結等に際して、顧客の意向と当該保険契約の内容が合致していることを顧客が確認する機会の提供しなければならない。
保険業法第294条の2
意向把握・確認の方法については、顧客が、自らのライフプランや公的保険制度等を踏まえ、自らの抱えるリスクやそれに応じた保障の必要性を適切に理解しつつ、その意向に保険契約の内容が対応しているかどうかを判断したうえで保険契約を締結するよう図らなければならない。そのために、公的保険制度についての情報提供を適切に行うなど、取り扱う商品や募集形態を踏まえ、少額短期保険業者又は少額短期保険募集人の創意工夫による方法で行わなければならない。
具体的には、例えば、以下の①から④のような方法が考えられる。
少額短期保険業者向けの監督指針
Ⅲ−3−3−2(3)①
例えば、以下のような顧客の意向に関する情報を把握・確認しなければならない。
少額短期保険業者向けの監督指針
Ⅲ−3−3−2(3)②
既存契約の更新や一部変更の場合において、実質的な変更に該当する場合は、当該変更部分について適切に意向把握・確認を行うものとする。
少額短期保険業者及び少額短期保険募集人においては、法第294条の2に規定する措置に関し、契約の申込みを行おうとする保険商品が顧客の意向に合致した内容であることを顧客が確認する機会を確保し、顧客が保険商品を適切に選択・購入することを可能とするため、そのプロセス等を社内規則等で定めるとともに、所属する少額短期保険募集人に対して適切な教育・管理・指導を実施するほか、以下のような体制が整備しなければならない。
少額短期保険業者又は少額短期保険募集人は、補償重複のうち、顧客の意向に基づかないものについて、その発生防止や解消を図る観点から、新規契約や契約の更新・更改(以下、「新規契約等」という。)にあたって、顧客に対し、補償重複に係る説明等が十分かつ適切に行われることを確保するため、以下の取組みを行わなければならない。
保険業法は、消費者の利益を保護するために保険募集に関する禁止行為を定めている。保険募集人や保険会社は、誠実に業務を行い、顧客に対して適正な情報を提供しなければならないと規定されている。これに違反すると、業務停止や罰金、免許取り消しなどの法的措置が取られる可能性があるため、十分な注意が必要である。
一定金額の金銭をいわゆる解約控除等として保険契約者が負担することとなる場合があること、一定期間の契約継続を条件に発生する配当に係る請求権を失う場合があること、被保険者の健康状態の悪化等のため新たな保険契約を締結できないこととなる場合があることなど、不利益となる事実を告げなければいけない。また、顧客が不利益となる事実を了知した旨を十分確認しなければならない。
法第300条第1項第4号関係